見て分かるということは、特に努力しなくても瞬時にできるように感じます。しかしその間に私たちの脳は、外界にある情報をいったん分解・分析し、そしてまとめ上げるという複雑な作業を行っています。しかも私たちの周りには膨大な数の対象があり、それらは私たち自身の動きにも伴って刻一刻と変化します。脳はそれらに対してどうやって次々と速やかに対処しているのでしょうか。もしもその処理過程に微細な不具合や時間遅れがあったなら、学習や行動は著しく非効率になるに違いありません。読み書きやコミュニケーション場面がその良い例です。
このゼミでは、私たちの生活や学習を支える機能としての視覚に注目し、脳内の意識的および無意識的な処理過程についての理解を深めるとともに、解明していくための研究方法を学びます。
なお「視知覚認知過程論」は、奥田三郎先生、狩野陽先生、北島象司先生、諸冨隆先生、室橋春光先生が指導した特殊教育・臨床心理学グループから、視覚の基礎研究部分が2015年に分岐しました。