北海道大学/大学院教育学研究院/教育学部
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学院長・学部長の挨拶

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私たちがめざすもの

 教育学部・教育学院に関心をお寄せ頂きありがとうございます。北海道大学に教育学部が設置されたのは1949年で、最初の卒業生を送り出した1953年には教育学院の前身である教育学研究科が設置されました。

 一般に「教育学部」と言えば、教員養成のための学部を思い浮かべる方が多いのですが、この経緯が示すように、北海道大学の教育学部は、教育学を学ぶことにより、教育問題を研究し、解決する力量を有する実践者・研究者を育成することに焦点を置いて設置されました。本学部の設置目的については、『教育学部規程』において以下のように記されています。

 「社会及び教育の発展並びに健康及び福祉の向上に寄与するため,教育学の諸領域における理論的かつ実践的な知識を体系的に教授することにより,豊かな人間性を備え,国際的な視野に立った,教育課題に的確に対応し得る人間を育成することを目的とする」

 教育問題を、学校に関わる問題として理解する場合には、例えば学力問題やいじめ問題などが挙げられますが、「教育」という営みは必ずしも学校においてのみ行われているのではありません。「教育」を、諸個人の発達を願いながら、人々の学びを支援する営みとして理解すれば、家庭や地域、職場などの人々が活動するあらゆる場に即して「教育」は見出せます。このような視点からみれば、教育問題は、学校を含めて、私たちの暮らしのあらゆる場が、そこに関わる人々の発達を保障するものとして十全に機能しているか否かに関わる問題であり、その場を「発達を保障する場」として発展させるための条件に関わる問題と言えます。

ここでいう発達とは、単に認知能力や技術が向上することではありません。それは、「よりよく生きる(well being)」ことができるようになることを含んだ概念です。様々な障害に直面して生きる人々も、貧困の下に置かれた人々も、暴力や圧政によって祖国を奪われた人々も、誰もがよりよく生きる権利を持っています。人間として発達する権利を持っているのです。そして人間は誰もが、学ぶことによって、暮らしの場や自分の人生をよりよいものとして創り出す力を高めることができます。「教育」は、よりよく生きる権利を実際に保障し、よりよい暮らしを創りだす力を高めていくために不可欠の営みです。

 このような意味での「教育」を探求するには、心理学・医学・社会学・運動科学などの多様な学問原理に基づく接近が不可欠です。教育学部・学院では、このような背景をもつ多様な教員が、従来の学問原理の境界を越えた創造的な教育を展開しています。

 

時代が求める教育学

 現代は明治維新・戦後改革に匹敵する転換期と言われ、これまでの近代化モデルの見直しが不可避となった時代です。社会の方向性が不確かになるということは、人間の発達の方向性も流動化し、「生きづらさ」に直面する人々が増えることをも意味します。もしも、このサイトをご覧になっているあなたが、生きる意味や方向性がわからないという思いを持たれているとすれば、それはあなたのせいではなく、時代の流れが大きく転回しているからに他なりません。

 この時代が教育学に要請していることは、人々がよりよく生きる主体として発達するとはどういうことかを明らかにするにとどまらず、そのような人間発達が可能な新しい社会の姿の提起です。転換期は混乱の局面でもありますが、新しいものが創造される機会でもあります。「人が育つ社会」と言えば理想に聞こえるかもしれません。しかし、私たちは、近代の下での試行錯誤を通して、真の意味で「人が育つ社会」を描く可能性を既に手にして来たのであり、またそれを現実のものにする歴史的な責任を負っていると考えます。持続可能な発展のための目標が国際的に合意されたことも、その証左の一つです。

 私たちは、このサイトに関心を持ってくださった皆さんと共に、この課題に挑戦したいと思っています。皆さんの創造力が、時代を切り開く新たな教育学を生み出すことを信じています。

 

 

教育学院長・教育学部長

宮﨑 隆志

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