北海道大学/大学院教育学研究院/教育学部
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学院長・学部長の挨拶

 

北海道大学教育学部は、第二次世界大戦が終わってまだ間もない1949年に設置されました。その4年後には大学院教育学研究科も設置されました。当時、本学部は教員や管理職、社会教育や児童福祉、保育などの幅広い分野にわたる専門的人材の養成が役割とされました。それから70年が経過し、社会と教育の発展状況は大きく変わりましたが、社会に有為な人材を送り出すという役割は変わっていません。この間、多くの学生、院生が巣立ち、さまざまな分野で活躍しています。

北海道大学教育学部は、学校教員の養成を主たる目的とする通常の教育学部と違い、人間の発達と学習、そして教育のあり方について探究し、また社会のさまざまな分野でそれらの充実や改善、問題解決に取り組む実践者や研究者を育成することをミッションとしています。

そのため、当学院・学部では人間の発達と学習、教育を幅広い学問分野から研究を行っています。これまで乳幼児から学齢期・青年期、高齢期まで、心理と身体、実践から制度、思想・歴史までを幅広くカバーし、発達・学習と教育を総合的に解明する研究体制を構築してきました。また、基礎科学からのアプローチを重視し、心身の機能や発達の原理、社会構造などの基礎的な解明を行いながら、同時に社会的な課題に取り組み、実践や応用に寄与する研究を行ってきています。

当学院・学部は非常に小規模であるという点も大きな特徴です。3・4年生の定員は各60名、修士課程の定員も1学年45名です。各研究室の規模も小さく、学生・院生と教員が近い距離で議論し、共同的に教育と研究を進めています。

このような研究・教育体制のもとで学生・院生と教員が日々、学習と研究に奮闘しています。

私たちが生きる現代とはいったいいかなる時代なのか、現代において教育や教育学にはどのような意味や可能性があるのでしょうか。

現代の特徴の1つはテクノロジーが急速に発達しつつある点にあります。新しいテクノロジーが社会のすみずみに浸透し始めており、これによって人々の生活や社会はより便利になったり、不可能であったことが可能になる反面、人間がAIなどに置き替えられたり、人間の行為や思考がそれによってコントロールされるような傾向も生じています。しかし、そのような状況においていま、あらためて人間には何がなしうるのか、人類の幸福とは何かが問われるようになってきています。テクノロジーの時代の到来によって人間の知性が試されており、私たちは現代にふさわしい知を探究していかねばならないのです。こうした時代に人間の発達・学習と教育を取り扱う教育学には大きな期待がかけられています。

第二次世界大戦を経て、世界は国際平和と人権という価値を共有したはずですが、これまでも多くの武力紛争が発生し、多数の人命が失われてきました。教育学はこうした紛争自体をただちに解決する力をもちません。しかし、教育と教育学は平和と人権が守られる世界を構築するために大きな役割を果たすことができます。日本は戦後改革により平和国家の構築をめざす憲法と教育基本法を定めました。そこでは民主的国家を形成するとともに、道義を尊重する文化国家を作り上げることが目標とされ、それは教育によって可能になると謳われました。いまあらためてこの言葉を噛みしめ、私たちは教育の可能性を追求していかねばらなないと思います。

私たちは学部・学院でともに学び、研究しながら、いまの時代に求められる教育を創造していきます。多くの人々がこの学習と研究、そして知の交流と創造に参加されることを期待しています。

 

教育学院長・教育学部長

横井敏郎

 

 

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