学校の教員をはじめ、 様々な道に進んでいる教育学部の卒業生。
多彩な進路を紹介します。
学校の教員をはじめ、様々な分野に就職する人、進学する人。
教育学部卒業生の進路は多様です。
柴田 麻里 教育社会学ゼミ(1993年度卒業)
小さな学校なので地歴公民科の全学年全科目を一人で教えています。2年前まで進路指導部長をしていました。 今年度は2年のクラス担任を持ち、進路指導部も担当しています。
北海道大学に入学後、現在の人間や社会を対象とした学問分野を求めて、教育学部に進みました。 そこで出会った「社会学」に魅力を感じて専攻に決めました。 大学3年の後、休学してアメリカの英語学校・大学に1年間の私費留学へ。 卒論では、留学先のアメリカ先住民族の多い地域で出会った思想について深く追求し、 まとめました。
高校の教師を志望したのは、取り組む年月を重ねるほど仕事のスキルが向上する職業と考えたからです。
また、結婚・出産などライフステージが変わっても続けられそうな職業というイメージがありました。
私の夫も北大教育学部卒業生で高校の教師をしていて、小中学生の3人の子どもがいます。 私は産育休を1年ずつ3回取って職場復帰しました。 3人目の時は夫が育休を取り、自分が出勤しました。 フルタイムの仕事 を持ちながらの親業は大変ですが、北大教育学部時代にジェンダー議論でみがいた、性で役割を固定しないやり方で乗り切ってきました。 かつての目標だった「お母さん先生」となった今は、それを維持することが目標です。
様々な実体験に挑戦し、たくさんの人と接して、出来ることを増やして、世界を広げていってください。
修士課程修了者は、博士後期課程へ進む者と、高度な専門家・職業人として学校、病院、官公庁、諸施設などへ就職する者がいます。
22年度 | 23年度 | 24年度 | 25年度 | 26年度 | 27年度 | |
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進学 | 15 | 8 | 6 | 5 | 5 | 11 |
就職 | 11 | 22 | 17 | 24 | 16 | 24 |
その他 | 11 | 10 | 10 | 15 | 17 | 13 |
修了者数(合計) | 37 | 40 | 33 | 44 | 38 | 48 |
大村 龍之介(2016年度 修士課程修了)
所属:生徒指導論
学部時代は北大文学部で、若者言葉の言説について理論的な研究をしました。大学院でさらに、若者について教育との関 連で社会学的観点も含めて調査主体の研究をしたいと思い、 北大教育学院に進学しました。
修士課程では、高校の鉄道研究部に所属する子どもたちが、どのような理由で部活動に関わり継続しているかについてインタビューを行いながら解明する研究をしました。研究を通して、社会で生活されている方や社会そのものに対しての偏見や思い込みをなるべく排除して捉える視点や、得られたデータを整理し示唆を与えるものにしていくスキルを得ました。このスキルは、就職後、地域の課題を中立的に捉え、多方面に働きかけていく際に重要なものであると考えています。学問は現実の課題や現場の実践に示唆を与えるものですが、そういった示唆を具体的な改善に結びつくように接続させることができるようにしていきたいです。
北大教育学院は研究フィールドが多様であるばかりか、大学院までの経歴が様々な人が集まっています。そのような方々との貴重な出会いを通じて考え、悩み、それでもなんとか前に進んでいこうとする。そんな経験を通じて、修了後には入学前とは違った自分の成長が得られると思います。是非、北大教育学院で、色々な先生方や院生の話を聞いて自分が何をしたくて、実際にできるのかその可能性を探してみてください。
博士後期課程を修了者の多くは、大学や研究所等の教員、研究職・専門機関等の専門職についています。
22年度 | 23年度 | 24年度 | 25年度 | 26年度 | 27年度 | ||
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就職 | 大学・短大 | 5 | 5 | 6 | 1 | 3 | 2 |
中学・高校等の教諭 | 1 | 1 | 2 | 4 | 2 | 1 | |
病院 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | |
民間企業等 | 2 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | |
その他 | 5 | 10 | 8 | 2 | 8 | 2 | |
修了者数(合計) | 14 | 16 | 19 | 7 | 15 | 5 |
奥村 安寿子(2014年度 博士後期課程修了)博士(教育学)
所属:特殊教育・臨床心理学
修士課程への進学は、学部に入学した当初からほぼ決めていました。教育や子どもに関わる研究をし、専門的な知識や経験を得たいと思っていました。
大学院で所属していた特殊教育・臨床心理学研究グループ※ では、基礎研究(認知心理学や脳科学の手法を用いた実験研究)と臨床実践(発達障害のある子どもの学習・生活・対人支援)の両方を展開していました。私もその2つを両立させることを目 指していましたが、修士の時に臨床実践に多くの時間を費やし、基礎研究が十分に出来ませんでした。そこで、本格的な基礎 研究を行うために、博士後期課程へ進学しました。
このように臨床とのつながりを見据えながら基礎研究を進めてきたことが、今の仕事に役立つ重要な思考回路を作ったのだと思います。
教育の現場から離れた場所での基礎研究は、一見実用的な意 義を欠くように見えるかも知れませんが、教育の様々な対象や現場に幅広く適用できる知見を生む可能性を持っています。北大教育学院では、基礎研究だけでなく、実践の場や現場経験者 と関わる機会も多いので、研究と実践の両面から教育に対する 専門性を高めていけると思います。
※現在の視知覚認知過程論と特殊教育・臨床心理学を合わせたものに相当
石原 暢(とおる)(2016年度 博士後期課程修了)博士(教育学)
所属:体力科学
北大理学部数学科に所属していた学部時代に、テニスインストラクターのアルバイトを通してスポーツと子どもの発育・発達の関連に興味を持ち始めたことから、修士課程から北大教育学院に進学しました。
博士論文は、テニススクールに通っている小中学生を対象 に、テニスレッスンが高次認知機能(問題解決、論理的思考、計画など目標志向的な制御を支える機能)へ及ぼす効果についてまとめました。まさにスポーツと子どもの発育・発達の関連についての研究を行うことができ、充実した研究生活でした。
博士後期課程修了後は、北大教育学研究院専門研究員として研究を継続し、博士課程で行った研究を発展させていきます。
北大には、先生の授業を補助するティーチングアシスタント制度(TA)や先生の監督のもと授業を一部主導で行うティーチングフェロー制度(TF)があります。将来的に大学教員を目指す人にとって、TAやTFを通して学生教育の実践経験を積むことは、大学教員になった後の授業の質の向上につながると感じています。また、北大教育学院は、幅広い分野から構成されているので、様々な分野の研究者と交流を図り、自身の研究分野以外の知識も得ることが出来ます。北大教育学院は、将来、大学教員・研究者を目指す人にとって非常に充実した環境であると実感しています。