日本と諸外国の高等教育を「比較」することを通して、自国の教育制度の特徴・課題と改善方策について考察し、さらには各国に共通する教育の法則性や本質的な部分にアプローチする。
准教授・飯田 直弘
グローバル化の影響を受け、さまざまな側面で大学は改革を迫られており、国際的な大学入学者選抜を可能にするような枠組みの策定が急務の課題となっている。また、AO 入試などの多元的な評価に基づく入学者選抜が実施されているが、コンピテンスや汎用的スキルなどの多様な能力・資質の評価に対応した入学者選抜方法の開発についても、海外の動向を注視しながら取り組んでいかなければならない。さらには、日本でも最近注目されるようになった職業・キャリア教育についても、今後は大学の機能分化が進むことを想定して、入学者選抜制度・枠組みの再検討を視野に入れた研究に取り組む必要がある。
現在は、イギリスを主なフィールドとして、比較教育学の視点から、これらの課題と密接に関わっている資格制度・政策及び実態に関する研究に取り組んでいる。具体的な研究テーマは次のとおりである。
・資格(試験)制度における「アカデミック-職業ディバイド」に関する研究
・国際的な能力認証枠組みに関する研究
・多元的な評価尺度を用いた入学者選抜方法の開発に関する研究
【主な著書・論文】
・飯田直弘(2012)「試験制度」、日本比較教育学会(編)『比較教育学辞典』、東信堂、pp. 194-195
・飯田直弘(2010)「現在のイギリスの労働党政権における資格試験制度改革の動向」、望田研吾(編著)『21世紀の教育改革と教育交流』、東信堂、pp. 69-81
・飯田直弘(2010)「イギリスの資格制度改革における『アカデミック-職業ディバイド』の実態―『学力』と『地域性』に焦点を当てた事例分析を中心に―」、『比較教育学研究』、第40号、pp. 66-86
・飯田直弘(2009)「イギリスのGCSE 試験における『統制評価』の導入について―地理歴史科に焦点を当てて―」、『国際教育文化研究』、Vol. 9、pp. 73-82
・飯田直弘(2009)「イギリスにおける資格試験の再編 ―『資格単位枠組み』の導入に焦点をあてて―」、『飛梅論集』、第9号、pp. 33-47