北海道大学/大学院教育学研究院/教育学部
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専門分野の紹介

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生涯学習論講座

比較高等教育

テーマ

日本と諸外国の高等教育を「比較」することを通して、自国の教育制度の特徴・課題と改善方策について考察し、さらには各国に共通する教育の法則性や本質的な部分にアプローチする。

紹介

 現在、高等教育セクターにおけるグローバル化の進展により、国を横断する教育の制度及び枠組みが構築され、各国または複数の国の間でさまざまな教育実践及び取り組みが行われている。たとえば、ヨーロッパでは、エラスムス計画やボローニャ・プロセスを経て、ヨーロッパ高等教育圏資格枠組み(Framework of Qualifications for the European Higher Education Area, QF-EHEA)やヨーロッパ資格枠組み(European Qualifications Framework, EQF)が構築され、各国の国家資格枠組みとの整合性や高等教育における質保証のあり方について検討されてきた。一方で、高等教育進学率の上昇により、多様な教育背景、学習経験、ニーズをもつ者が高等教育機関に在籍するようになり、日本などの国ではユニバーサル化の状況を迎える中で、高等教育は新たな課題に直面している。このような高等教育における改革の特徴及び課題は、いくつかの国・地域で共通する傾向をもつ。その一方で、当該国の政治、経済、社会、歴史、文化などの影響により、いくつかの点で独自の文脈と特質をもつ。
 以上を踏まえ、比較高等教育論では、比較教育学の視点から、日本や諸外国の高等教育で現在何か起こっているのか、また、それはどのような背景・要因により生じているのか、さらには、そこにはどのような類似点と相違点、法則性が存在するのかについて探究する。

求める学生像

 比較高等教育論は、高等教育の分野における世界規模の課題の解決と研究の発展、知の創成と社会の発展に寄与するとともに、高等教育のフロンティアを開拓する研究者並びに高度な知識とスキルを備えた専門的職業人を育成することを目指しています。これらを実現するため、21世紀における世界の教育課題の解決に対する使命感をもち、国や地域の比較の視点から研究を遂行できる人材を求めています。具体的には、修士課程並びに博士後期課程における学びに必要な基礎的知識・スキル、論理的思考力、思考の柔軟性、視野の広さ、高等教育の諸課題の解決に対する強い関心と意欲、問題解決能力、創造力、語学力、コミュニケーション能力、多様な価値観を認めることができる人間性、倫理観を備えた学生を受け入れます。また、専門分野としての特質から、意欲の高い優秀な外国人留学生の受け入れを積極的に行います。

教員の紹介

准教授・飯田 直弘
 グローバル化の影響を受け、さまざまな側面で大学は改革を迫られており、国際的な大学入学者選抜を可能にするような枠組みの策定が急務の課題となっている。また、AO 入試などの多元的な評価に基づく入学者選抜が実施されているが、コンピテンスや汎用的スキルなどの多様な能力・資質の評価に対応した入学者選抜方法の開発についても、海外の動向を注視しながら取り組んでいかなければならない。さらには、日本でも最近注目されるようになった職業・キャリア教育についても、今後は大学の機能分化が進むことを想定して、入学者選抜制度・枠組みの再検討を視野に入れた研究に取り組む必要がある。
 現在は、イギリスを主なフィールドとして、比較教育学の視点から、これらの課題と密接に関わっている資格制度・政策及び実態に関する研究に取り組んでいる。具体的な研究テーマは次のとおりである。

・資格(試験)制度における「アカデミック-職業ディバイド」に関する研究
・国際的な能力認証枠組みに関する研究
・多元的な評価尺度を用いた入学者選抜方法の開発に関する研究

 

【主な著書・論文】
・飯田直弘(2012)「試験制度」、日本比較教育学会(編)『比較教育学辞典』、東信堂、pp. 194-195
・飯田直弘(2010)「現在のイギリスの労働党政権における資格試験制度改革の動向」、望田研吾(編著)『21世紀の教育改革と教育交流』、東信堂、pp. 69-81
・飯田直弘(2010)「イギリスの資格制度改革における『アカデミック-職業ディバイド』の実態―『学力』と『地域性』に焦点を当てた事例分析を中心に―」、『比較教育学研究』、第40号、pp. 66-86
・飯田直弘(2009)「イギリスのGCSE 試験における『統制評価』の導入について―地理歴史科に焦点を当てて―」、『国際教育文化研究』、Vol. 9、pp. 73-82
・飯田直弘(2009)「イギリスにおける資格試験の再編 ―『資格単位枠組み』の導入に焦点をあてて―」、『飛梅論集』、第9号、pp. 33-47

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