北海道大学/大学院教育学研究院/教育学部
Language
トップイメージ

学部のゼミについて

更新日:
教育心理学分野
通称「ゼミ」。 深く掘り下げた議論をします。

特殊教育・臨床心理学

テーマ

発達障害における認知・学習過程の解明

紹介

 動物であるヒトが人間(人と人との間に生きる存在)になるには,広範な環境刺激を人と人との関係の中で受容し,組織することを必要とします.知的障害,自閉症,学習障害などの発達障害は,生物学 的要因を背景に持ちながらも,その発現には環境との関わり方が重要な役割を果たしているといえます.
 私たちの研究グループの課題は,発達障害や適応障害を脳に起因する障害としてとらえ,それが生じるしくみを,生物学的因子と心理学的因子のダイナミック スとして研究することによって,その診断,評価,および指導法を確立することです.そのような障害を持つ子供たちの発達を援助するためには,まず環境刺激 を受容・組織化する機構を解明し,障害を持つ子供たちの問題点を明らかにすることが必要です.その上で,環境要因を操作することによって,障害の生物学的 原因の影響を最小限にできる方法を開発する方法が望まれます.
 現在,基礎研究として,さまざまな課題解決事態における脳波や事象関連脳電位,脳血流反応などを用いた脳の活動の計測と,表出された行動の分析を行っています.それらの結果を検討することにより,人の持つ適応機構の基礎的解明を行うことを目指しています.
 また,学習障害などの発達障害のある子どもや適応障害のある人たちの協力を得て,さまざまな課題解決事態における認知特性の現れ方や環境との相互作用に ついての分析を行っています.これらの臨床的知見の集積と,基礎的知見の集積を統合化することにより,障害の基礎機構の解明が進展することが期待されます.基礎機構の解明の進展に対応して,障害に応じた基本的な治療教育法を開発することが可能となり,一人ひとりの特性に合わせた適応への援助を行ってゆけるようになることが期待されます.

求める学生像

 人間の認識のしかたの本質は、生物学的基盤と環境の相互作用の中に存在するのではないか?私たちの研究グループは、そのような相互作用を心理的メカニズムの在り方として、脳の働き、認知のしくみ、自閉症のメカニズムなど、様々な視点から追求しようとしています。特に、発達障害という特性の中に、その相互作用の本質が立ち現れているとみて、基礎と臨床を融合させながら追求していきたいと考えています。そのような疑問について、自らの視点を持って解き明かそうとする熱意のある人たちとともに研究を進め、子どもたちのこころ豊かな世界を創ることに寄与していきたいと考えています!

教員の紹介

卒業論文

    • 漢字書字に困難を抱えるADHDのある子どもに対する指導効果の検討

    • 軽度発達障害のある子どもにおける言語表出の認知的特性

    • 自閉症の聴覚過程における弱い中枢性統合の影響について:定型発達の成人を用いた予備調査

    • 知的障害者への偏見解消におけるラベルと意識的抑制教示の効果に関する実験的研究

    • 事象関連脳電位を指標とした視覚ディストラクション効果の検討―課題関連性と逸脱度からの検討―

    • グローバル・ローカル水準間の注意シフトの検討―顕著性、制御的注意の観点から

    • アクションテレビゲームが視覚選択能力に及ぼす影響―視覚的印付け課題を用いたディストラクター抑制の観点からの検討

    • 対人印象における刺激属性と文脈効果の検討

    • 多義図形の自発的反転におけるトップダウン処理の検討

    • 日本人英語学習者の音声言語聴取時における正書法の活性化とリスニングの関連性について

    • 英語学習においてキャプションと音声の呈示順序が音声記憶におよぼす影響について

    • 音読・黙読による文章の読みとワーキングメモリ容量の関係性について―眼球運動を指標とした実験的研究―

    • 自閉症スペクトラムの文脈変化時における意味ネットワーク活性化に関する一考察

    • 「不器用さ」の検討~身体協応性との関連から~
トップへ戻る