教育行政学
テーマ
子ども・青年の教育保障のための教育行政・公教育制度の歴史的・国際的・調査実証的研究
教育には個人の自由にまかせるべきものもあれば、制度として用意されるべきものもあります。人々の発達・学習を支える制度や行政のあり方を考えるのが教育行政学です。ここには教育実践そのものと次元を異にする固有の領域があります。
戦後日本の公教育制度は、機会均等と共通教育を重視し、一元的なシステムとして形作られてきました。国際的に見て高い就学率を実現してきましたが、完璧であったわけではなく、不登校や義務教育未修了、高校中退なども発生していました。とりわけこの20年間は格差・貧困の拡大、障害や病弱の子ども、外国ルーツの子どもの増加などにより教育機会保障が大きな問題となっています。いかに公教育制度を再設計し、多様な教育ニーズに応えていけるかが課題となっています。
これまでどこにでも学校があり、先生がおり、そういう意味では平等な条件で教育が行われてきました。しかし、近年は世代交代による大量退職や少人数学級政策、特別支援学級の増加、教員志願者の減少により、教員確保が困難になりつつあります。過疎地では少子化により学校の維持存続も課題になっています。国の財政難はありますが、教育条件整備の充実が求められています。
教育行政学は、現代の教育課題を行政、制度、法律、政治の面から研究しますが、その課題は人々の具体的な生活や実践、社会や世界の現実をしっかり見つ めることによって初めて捉えられるものです。人間と教育、社会と世界に対して、広く深い認識をもつ学びに取り組んでほしいと思います。
*「専門演習」 (ゼミナール)。しっかり議論し、問題認識を深めることを目指しています。
*「学校経営・教育行政調査実習」。 調査テーマの設定から事前学習、調査を経て最後には報告書をまとめ、研究室報『
公教育システム研究』に掲載します(北大附属図書館
HUSCAP)。現在は学校経営論の篠原岳司准教授が中心になって実施しています。院生たちと一緒に活動します。