障害者臨床心理学
テーマ
当事者の生きられた経験に学び、障害を抱えて生き抜くことへの助力=ケアを考える。
なぜ、「当事者の生きられた経験に学ぶ」ことを冒頭にあげ、大切にするのか。それは、既知の体系化されたものの見方を鵜呑みにせず、当事者にとっての経験という視点から、「障害」の本質を捉え直し、ケアを問い直していく研究を目指す所以である。「障害」とは生活のしづらさであり、「生きづらさ」・「行きづらさ」でもある。この意味における「障害」は、個のなかに存在するものではなく、環境との関係において浮上するものと考える。したがって、ケアを探求していくときには、障害を抱える当事者のみならず、周囲の人や環境へと視野を広げて考えていく必要があるだろう。「問い」を深化させ、矛盾に向き合い、当事者にとって最善の利益と、ほどよい環境について考え続けることのできる臨床家がここから育つことを願いつつ、ケアの場において、泥臭い愚直なケアの担い手としてのあり方 を、ともに考えていきたい。研究方法としては地道な質的研究を主として取り組んでいる。「問い」・「発見」・「命名」を掘り起こす研究の楽しさをともに味わっていきたい。