乳幼児期の発達心理学的研究、保育教育実践の中の発達支援に関する研究、保育者の成長や子ども理解に関する研究
私たちの研究室は,主に乳幼児期の子どもを対象とした基礎的な発達研究をすすめるとともに,子育てや保育における実践的な課題解決に資する研究に取り組んでいます。北海道大学の乳幼児発達研究は,1950年代に故・三宅和夫名誉教授によってその礎が築かれ,日本のみならず世界の乳幼児発達研究を牽引する役割を果たしてきました。縦断的研究と生態学的スタンスを重視し,心理学に閉じない総合的な発達研究を志向してきた点でユニークな歴史をもっています。私たちもその伝統を継承しつつ,現代的な実践課題に向き合う研究を志向しています。
乳幼児期は人間発達の原点であり,可塑性とダイナミズムに満ちた神秘的な時代です。ヒトの乳幼児は,他の動物種と同様に一定の生物学的制約を抱えながら,それをも含み込むかたちで社会・歴史的文脈を生きていくことになります。その育つ場は,今日,家庭のみならず保育所や幼稚園といった施設,NPOなどが推進する子育てひろば,日常の地域における様々な場面等多岐にわたります。社会・経済構造の大きな転換期にあたる今日,子どもの育つ条件やプロセスもまた様々な転換を迎えようとしているかもしれません。私たちは,実験室的な環境による自然科学的方法,保育施設等へのフィールドワークによる質的研究,そして文献や資料の分析による理論的・歴史的方法を目的に応じて採用し,発達現象を多角的に捉えることを重視しています。
「日本の幼稚園で幼児はどのように数的認識を発達させるのか:幼児教育実践に埋め込まれた十進法とその役割」(課程博士)
「障害のある子どもに対する保育者の子ども理解の構造とその変容:個別の指導計画及び保育記録を媒介として」(課程博士)
「『保育コミュニティ』の実践論理:北海道東部のへき地保育所におけるエスノグラフィー」(論文博士)