センター概要

センター長からのメッセージ

子ども発達臨床研究センターは、1978年に設置された乳幼児発達臨床センターを2006年に改組して設立されました。乳幼児発達臨床センターは縦断的発達研究や保育実践研究の拠点として機能してきましたが、子ども発達臨床研究センターとして再発足して以後は、発達障害児・者の支援研究をもう一つの基軸として据え、同時に発達研究の焦点も異年齢集団や地域社会などの発達環境にあてられるようになりました。2014年からは、これらに教職高度化研究部門を加え、教員の資質や教員養成のありかたに関する研究と発達研究を結び付けることを目指しています。

現代社会は、「生きづらさ」を抱えながら生きざるを得ない人々を多く生み出すようになりました。一見すると「非人間的」な事件も頻発しています。このような社会状況の下で、人間の発達や教育を語ることは容易ではありません。なぜなら、教育は人間の発達を保障する社会的な装置ですが、その教育が行きわたっているはずの日本の社会で、そのような問題が起きているとすれば、教育や発達に関する研究・教育も現在の社会状況に加担している可能性があるからです。加えて、格差と貧困の拡大はより問題を複合的にし、対応を難しくさせます。
問題が複合的であるならば、解決の方法は多様な領域の協働で構想されなければなりません。このセンターでは、社会的不利・多様性・生涯発達・地域性という視点のもと、研究および現場との協働を進めて行きたいと願っています。発達心理学、社会教育学、社会福祉学、社会学、臨床心理学、特別支援教育学、教師教育学、小児神経学などの研究領域を超えて、これまでの発達概念を見直しながら、臨床的・教育的な支援の課題や方法を探求し、研究成果を社会に還元することが私たちの使命です。皆様のご理解・ご支援と、積極的なご参加を心よりお願い申し上げます。