北海道大学教育学部パンフレット

Hokkaido Universit y 北海遭大学 教育学部 学部案内 15鳥 HOKKAIDOUNIVERSITY

北海道大学教育学部からの メッセージ 教育学の専門的な研究・教育の場 北海道大学教育学部は大学院の教育組織である教育学院、研究組織 としての教育学研究院とともに、「発達と学習の現代的課題にこたえる教育 学の創造」を目的にして研究・教育を行っています。この目的に沿って学校 教育だけでなく、家庭・地域・企業など社会の様々な領域での教育の問題を 扱っています。学校や社会における心や体の発達・学習についての研究・ 教育も重要な領域としています。 教育学部4年間の履修の流れ 人間の科学 | ―年次 I 二年次 I 三年次 I 四年次 1 |―学期・ニ学期 II ―学期 I二学期 I―学期 I二学期 I―学期 I二学期 I I 卒業論文 I の 専門演習 II 全学教育科目 専門演習 II 教育学基礎演習 専門演習 l 専門演習 II 専門演習 II 教育学を追求する 調査実習・実験実習 専門科目 多様なバックグラウンドを持つ教授陣と少人数教育 教育や発達は幅広い内容をもっていて、アプローチの仕方も多様です。 そのため、教育方法や授業論、歴史、思想などの教育学をベースにした 教員だけでなく、心理学、社会学、社会福祉学、社会政策学、体育学、医学、 運動科学などを学問の基礎にしている教員もいます。多様な教員によって、 幅広い内容の学問が展開され、総合的な形で研究・教育を行っているのが、 本学部の特徴の一つです。 教育学部は 1 学年が50人~60名と小規模で、この点を生かして、少人数の 演習による教育を重視しています。 2年次から演習(ゼミ)が始まリます。 様々な道で活躍する卒業生 北海道大学教育学部は、 社会の担い手として幅広い視野を 持った人を育んでいくために、 教職員一丸となって、 研究・教育を行っています。 教育学部の卒業生の進路や目標は多様です。教員を始めとする教育に 関わる専門的な職業に就く人、公務員としてあるいは民間企業等での 貢献を選ぶ人もいます。また、 3割が大学院に進学し、専門職に就くことや 研究者の道を選ぶ人もいます。 興味をもたれた方は、この学部案内やウェプサイト、オープンキャンパス等を通して、 よリ詳しい情報を入手され、私たちとともに学ぶ道を検討してください。 皆さんとお会いできることを楽しみにしています。 0 1 02 と し て

ー1 年次は全員、総合教育部に所属 北海道大学では 多様な入試で学生を受け入れています。 北海道大学に入学した 1 年生は全員、 「総合教育部」に所属して 教養科目や基礎科目を学びます。 年次 クラスで仲間をつくる 私たちが 北海道大学教育学部の 4 年間を紹介します! 人数が少ないため、 友達を作リやすく、 みんな仲が良いです! 先輩や後輩との 関わリも多いですよ。 林啓樹 3年生 中山実優 3年生 案竺こノ 期待していた通リ、仲が良いです! 生徒も教授も思いやリのある 優しい方々が多く、自分の個性を 活かしながら学ぶことができます。 須藤愛 1 年生 ●「総合教育部」では学生が所属する基礎集団(クラス)がつくられます。 ●全国各地から入学した学生が新しく人間関係をつくることができる場所となっています。 ●学部別入試で教育学部に入学した学生は、 5組(30名)に所属します。 ●総合入試文系で入学した学生は、総合文系の 1 4 • 1 5組 (1 00名)に所属し、 1 年次終了後に教育学部へ移行した場合、 2年次から教育学部に所属することになリます。 ●それぞれのクラスには、クラス担任・副担任の教員がついて、みなさんの相談に応じます。 ● 5組のクラス担任・副担任は、教育学部の教員が担当します。 ●クラス単位で参加する北大祭などの行事もあリ、クラスメイトとの絆が深まリます。 6月北大祭 1 年生のクラスごとに模擬店を出店!その他、いろいろな学部・学科の 展示、留学生によるお店も並び、キャンパスは多くの人で賑わいます。 入学当初は新しい環境に馴染めるか 不安で緊張していましたが、北大祭の 準備のために毎日クラスの人達と 集まって作業をするうちに自然と それ以外の時間でも毎日集まって 話すようになっていきました。 野々村光将 1 年生 総合教育部の授業 4月新入生歓迎合宿 教育学部のメンバーとなった、学部別入試で入学した 30 人、 2 年 次に総合入試から移行してきた 20人、 3年次に編入・転部入学し てきた 1 0人を歓迎する合宿です。この合宿の計画・運営は、学 部 3 年生が構成する実行委員会がすぺて担います。先輩学部生 の他、教員、ときには院生も参加して行われます。先輩、先生方 と、学年を超えた交流の輪が広がリます! 様々な専門分野の教員の授業を受け、幅広い教養を身につけます。 全学教育科目(一部) 総合教育部では、水産学部の先生 など、中々接することのできない 学部の先生方の授業を受けること ができます。文理を横断した各分野 の専門の先生方の授業は大変興味 深いです。第二外国諾の勉強も 楽しかったです。 中川実優 1年生 一般教育演習(フレッシュマンセミナー) 20人程度で行う演習。文献講読•発表(プレゼン)・討論など大学での学び方を実践的に学ぶ 総合科目 学問分野を超えた問題を扱う文系・理系を問わず複数の教員が連携して行う講義 教養科目 主題別科目 各分野を専門とする教員による講義 外国語科目・外国語演習 世界とのコミュニケーション、研究に必要な外国語力を身につける講義・演習 共通科目 体育学、情報学、統計学、インターンシップ 基礎科目 人文・社会科学の基礎 文系の新入生向けの講義 心理学実験 人間の心理を客観的にとらえる方法を学ぶ どうして北海道大学教育学部へ? 須藤愛・ 1 年生(石川県)学部別後期 北海道大学教育学部には発達心理学 というゼミがあると知リ、そこで研究したい と思ったので。文系の中で 1 番少人数 の学部だったのも魅力的でした。 影山陽哉・ 1 年生(札幌市)学部別前期 様々な分野の学問に触れる機会が欲し かったため、教員志望だったが教育系の 単科大学ではなく総合大学の北海道 大学を選びました。 古橋咲代・ 1 年生(愛知県)学部別後期 北海道の四季を感じられる広大な キャンパスの中で少人数で教育を 深められる環境に魅力を感じました。 櫻庭肇人・ 1 年生(小樽市)学部別前期 中川実優・ 1 年生(大阪府)学部別前期 , ( 福嶋柳之丞・ 1 年生(七飯町)学部別前期 教育や福祉の場面で心理学を活用 することに興味を持っていたため、 よリ実践的な心理学を学べる北海道 大学教育学部を選びました。 03 04 ~ と学を の 大 育丸 た道教で れ海らら か北かか ? ぐ北 スあな思 Vがまと 王 〖 こなーらは か育なで 豊教部の がと学る 然然育ベ 自漠教学 、 \ー 、 にが部 方校学 リ学育 在な教 のんて た校ど v 臼 ]? i きま度ま しかめ て してい決 ごっすを 過持や学 でをし入 今ま疑間過ごヘの

05 一 いよいよ専門科目の 新しいメンバーを加える 2年次進級時、 総合入試の学生から 20名が教育学部へ 移行してきます。 年次 学部入試の学生も 総合入試の学生も 仲がいいです! 講義や演習、実習が始まリます! 必 修 科 目 選 択 必 修 科 目 ' 2 • 3年次の授業 教育学基礎演習 教育学概説 専門演習→各ゼミの紹介はp.17-24 に 教育基礎論(講義・調査実習) 教育社会科学(講義・調査実習) 教育心理学(講義・実験実習) 健康体育学(講義・実験実習) 教育学特別講義 教育学国際講義 教育学概説で4分野の内容を広く 学ぷことで、そこで自分の興味関心 に気づくことができる点が良かっ たです。 塙恒星 2年生 教育の自由・権利と法 教育の歴史 教育の思想 教育の内容と方法 発達と学習1 、 2 教育と社会1 、 2 健康体育と衛生 1 、 2 2 年次後期に専門演習(ゼミ)を 受講します! 2年次後期よリ専門演習(ゼミ)を受講。本格的にゼミに所属する前に 専門演習を受講し、ゼミの研究に触れることができます。 1 つのテーマ につき 1 コマ (90分)で行われ、最大2つまでゼミを選択できます。 2年生前期の授業では自分が思った 以上に多くの分野の話がされました。 そこで幅広い知識を学び、そこか ら後期で気になった専門演習を 取ることができてよかったです! 小峰輝士 2年生 どうして北海道大学教育学部へ? 白土こころ・ 2年生(札幌市)学部別前期 小峰輝士・ 2年生(埼玉県)総合入試文系 佐藤伶音・ 2 年生(苫小牧市)学部別前期 高校3年生の夏に、オープンキャンパス で体験したゼミが楽しかったのと、将来 そこにいる自分の姿を息い描けたから です! 1 年生の教養の授業で学部の先生と 一対ーで授業してもらう機会があって そこで教育学部を勧めてもらったから。 高校時代に、現状の学校教育に疑問 を強く持ち、学問的に良い教育とは 何かを勉強、研究をしたいと思ったから。 .-= 移行歓迎イベント 2 年次後期の時間割例 月 火 1 2 教育思想史 3 臨床心理学 水 木 近現代学校史 外国地誌(文学部) 教育社会学 青年期教育(専門演習) 教育福祉論 /‘·贔 専門科目の授業は非常に 面白いです。普段から考 えて学ぶクセをつけると よリ深められると思います。 赤田一真 2年生 金 ` 青年期教育論 生涯学習論 学校社会学 4 ] ( 教育臨床心理学(専門演習) 体育社会学(専門演習) 教育福祉(専門演習) • 9 5 しノ `' ! 6 ‘^ 小林暖佳・ 2 年生(札幌市)学部別前期 先生になるための授業だけでなく、 教育心理学や教育社会学など様々な 分野について学ぶことができるから。 塙恒星・ 2年生(神奈川県)総合入試理系 今まで受けてきた教育に対して思って いた疑問について、学問的に深く学び たかったから。総合入試のシステムで 理系から教育学部に移行しました。 赤田一真・ 2年生(札幌市)総合入試文系 私の人生の大半は教育を受けてきた 期間です。教育の現状と瑾想像に ついて今度は自分が考え直したいと 思うのは必然なのかもしれません。 06

ー ァットホームな雰囲気が 魅力です。先生方との距離 も近く、手厚くサポートして くださリます。 転部・編入の 1 0 人が 教育学部に合流! ゼミヘの本格的な所属が始まる! 年次 ゼミって? ゼミとは「少人数で行う専門性の高い授業」のことです。学生は自身の 興味•関心に応じて好きなゼミに所属します (30以上のゼミの中から、 希望のゼミに入リます)。同じゼミの学生とは学年に関係なく、とても 仲良くなれます! ゼミの特徴は、各分野のプロフェッショナルである先生方と、同じ机で、 同じ高さの目線で行われるということです。先生方と一緒に文献を 読んだリ実験をしたリすることを通して、それぞれの分野の基礎理論 や研究方法を学びます。 様々なゼミに参加してから本ゼミ を選択できるので、本当にやリたい 勉強をできます! 中溝颯真 3年生 北海道大学教育学部は幅広い分野の講義 が受けられるのが魅力です!広い視野を 持って教育に携わる力がつきます。少ない 人数で考えを深めることができ、発表の 力もつきました。 橘あぐリ 3年生 中山実優 3年生 ゼミでの経験は 大きい! __J 3年次後期の時間割例 月 言語発達論 火 水 木 金 発達心理学(実験実習) 2 乳幼児発達論(専門演習) 言語発達論(専門演習) 発達心理学(実験実習) 3 産業教育論 身体運動システム論 様々な出自の人と あらゆる話題について、 常に「議論」できます! 発達心理学(専門演習) 体育社会学 北海道大学教育学部独自のプログラム ゼミでは、自分の関心の あるテーマについて 専門的な部分まで 学ぶことができるので、 とても楽しいです。 北海道大学教育学部には、教育学部海外短期セミナー派遣支援制度、 北海道内の地域交流プログラムがあリます。 →詳しくは、p.15-16に {先生と学生、学生同士の距離が近く、 ァットホームな雰囲気の中で議論が展開 できて、とても楽しく勉強になリます。 佐竹那希 3年生 国際プログラムに参加して、日本に いると気づけない、日本の教育の良い 点・問題点を、外から見つめることが できたのが良かったです。 高岡伶丞 3 年生 どうして北海道大学教育学部へ? 橘あぐリ・ 3 年生(富山県)総合入試文系 中溝颯真・ 3 年生(兵庫県)編入 ( g ~m~ 中山実優・ 3年生(札幌市)学部別後期 キャンパスの雰囲気が好きだったことと、 研究したいと思っていたことに近い内容 を卒業論文で執筆されていた方がいらっ しゃったからです。 林啓樹・ 3 年生(東京都)学部別後期 幼少期に旅行で訪れてから、ずっと 「北海道」に住むことに憧れがあった ため。また、「教育学」を学びたかっ たため。 佐竹那希 •3 年生(札幌市)学部別前期 児童虐待や少年犯罪、不登校やヤング ケアラーなど、子どもに関する社会の 問題について学びたいと思ったから。 高岡伶丞 •3年生(千葉県)学部別後期 北海道大学は地元から遠い街で 暮らしてみたかったからで、教育学部 は自分が受けた日本の学校教育の現状 について疑問を感じたからです。 07 08 4 5 6 、 学と学 進ぃ大 学たの ば虹 系 学究成 会研養 社の員 5旬 皇 5 も格リま リ育ぁし ~ 碩心 心 にけ思編 5悶 ヽ ーー ' a て。も らの 5 了 ぃ思か たと多 きいが 就た部 にび学) る理にで え心輩つ 支こ先一 を即のの と仏活由 ひお部理

卒業論文 発達心理学ゼミで 3大学合同 の勉強合宿を開きました。他の 大学生の興味分野や研究内容 を知ることができ、いろいろな 知見を獲得することができました。 石田光之介 4年生 -·し、 、- -、 、、 就職活動 ー 年次 教育実習 (実習先によって異なリます) 、、 .---* 、、、、- 集大成の 1 年間 卒業論文に取リ組みます! 私の卒業論文では学校に対して調査を行う必要が あったため、調査の申し入れや日程調整の部分で苦労 しました。 しかし、さまざまな方と調整することで スケジュール管理や他者と調整する能力の部分では 成長できたと感じます。 尾田碧亜 4年生 大学院入試の準備では大学院生の先輩方 に色々とサポートをしていただき、自分の関心 をよリ明確化していきました。精神的にも すごく助けられました! 原田誠史 4年生 J 教育学部では卒業論文が重視されます。問題意識の設定、先行研 究の検討、研究課題の明確化、資料やデータの収集、論文の執筆、完 成した論文の発表まで、学生が指導教員の示唆を得ながら、自らのカ でやリ遂げることを基本にしています。論文の発表は、学部の構成員 全てに公開される形で行われます。論文発表までの道のリは平坦では あリませんが、その過程で大きな力を身につけていきます。 先輩・後輩や教員など、異なる立湯の人たちとも 話しやすい環境です!先輩や複数の教員に卒論 や院試に向けたアドパイスをもらったリ、後輩と 協力して学部行事を運営したリと、学部内の様々な 立場の人たちと関わリながら、充実した大学生活 を過ごすことができました。 渡邊結華 4年生 今の社会で 一番大切なのは 教育じゃないかな -,、、、 教員採用試験 ~--、 、、 大学院入試 (前期) ヽ院試と教育実習と教員採用試験が 近い時期にあリ、それぞれの準備が とても大変でした。しかし、すべて自分 のこれからに繋がるものだったため、 何とかやリきることが出来ました。 特に教育実習は今まで学んできたことを 実際の学校現場で生かしたリ、学ん だことと現場との違いを実感したリと 有意義な経験ができました。 高島千波 4年生 .--、 、、 大学院入試 (後期) ヽ- ` .,t ‘,9- ": 、、、、 .-- 大学院進学や資格取得、民間企業への就職 など、思ったよリ将来について迷いました。 教育学部といえば教員になるというイメージ を持たれがちですが、北海道大学の教育 学部は他にも多種多様な進路への道が開けた 学部であることを実感しました。 村上夏海 4年生 一 どうして北海道大学教育学部へ? 渡邊結華・ 4 年生(埼玉県)転部 原田誠史・ 4年生(新潟県)学部別前期 自身が地方部出身で、都市との教育の 情報格差や学力格差を感じてきて、教育 のことについてよリ深く考えたいと 思ったから。 尾田碧亜 •4年生(福岡県)編入 自分が受けてきた教育がどう成立して、 どのような政策/制度の中で活用されて きたか知リたいと感じたため。 C 文学部で言語や文学について学んで いましたが、「人が言葉を使い、味わう こと」の方に関心が移リ、教育心理学を 学べる教育学部へ転部しました。 村上夏海・ 4年生(東京都)総合入試文系 石田光之介 •4年生(石川県)編入 高島千波・ 4年生(札幌市)学部別後期 身近な人が進学していて、憧れだった から。また、「教育」について自分で 考える力を身につけたかったから。 09 10 『 \ 噸 , ^ 〇》 ょ呼’ ン・ !F の章と 画児ぃ 計でた 市程し 都過究ベ した研究て研学部 とぃ育 ゜心たっ教 中しに学 をま面大 校い理道 学行心海 t でをの 1 ヽ 専究徒い 高研生思 a の あっ ると学 興べ大 る学 ヘ 害ずに道 障て的海 達ぃ点北 発っ重ら。 こ にーらかた 特援な東し ヽ支こ関ま 学やこでめ 理育、の決 心教リたを 臨床へのがあ思つ進学

知屈 学びのキーワード:身体文化論、身体文化史、スポーツ史 北海道の森の中で 身体存在から世界を「みつめる」 身体文化論 泄1田恵子 前ヴィクトリア時代のスポーツ史に関する貴重本、原書など 森と一体となる授業(2023年余市エコピレッジ) 心身二元論の脱構築、脈動する自然、森への回帰 森林面積日本一の北海道で考える身体文化論 近代社会は操作概念上、心と身体を区別する心身 二元論に陥リがちですが、ニーチェが「身体は精神の 道具ではなく、精神が身体の道具だ」と挑戦的な比喩 を用いたように、そしてコロナ禍で多くの人が気づいた ように、人間存在とは思考する身体そのものであると いうことが、私が取リ組んでいる身体文化論のテーマ です。スポーツや体育に限らず、どのような事象も身体 存在を通したパースペクテイプから捉え直すことでは じめて、近代の臆説を相対化し、歪みのないレンズで 世界を見ることができると考えています。 この前提をわかリやすく言えば、オンライン化やAl、 Chat GPTの時代になっても、ヘンリー・デイヴィッド・ ソローの哲学の通リ、「人は元来森から来たのだ」とい うこと、林間学校教育は科学と文学双方の生みの親 であリ、その中でもとリわけ「歩く」という行為は逍遥 学派に代表されるような知的活動であることを授業で 伝えています。実際、物理的な移動が困難だった時期 を経験したポストコロナの学生たちはスポーツや森に 対する関心がかつてよリ研ぎ澄まされ、その源泉を探 っていくとまさに人とは身体存在であるという私の話 に共感する傾向が増したように感じています。 私自身は学部卒業後、社戸科の教員免許に加え て、保健体育の教員免許を取得し、英国文化の歴史 に興味があったことから、こ卜らのすぺてをひとつに したような前ヴィクトリア時!やのイギリススポーツ史 をテーマに博士論文を書きました。そのような自身の 狭い専門で講義することはあまリなく、どのようなテ し ーマも魅力的なものだと考えていますが、「身体とい うパースペクテイプ」に根づいた未来志向の創造性を 奨励しています。 しかも、私たちが自然との共生や健やかなスロー ライフをどう築いていくか(」ついて考えるとき森林 面積が日本一の北海道にI~ 身体文化論の肥やしと なる自然環境が広がっています。北海道各地で展開 l されるウィンタースポーツのスキーやカーリング、あ るいはウォーキングの歴史Ii北海道の地方の問題だ けでなく、日本の将来的な lジョンを描く上で、多く の課題と可能性を胚胎してしるように思います。学生 時代から実感を伴ってピジョンを描けることこそ、北 海道大学ならではの強みではないかと考えています。 12

学びのキーワード:教育機会の格差不平等、社会的不平等と教育 教育を社会現象の一つとして捉ス 複眼的な視点で位置づける 教育社会学 上山浩次郎 分析することで格差の問題が見えてくる アンケートを使った調査を行うことも 教育機会の格差論の基盤となる指標研究 北海道大学の教育社会学はもともと地域社会学的 な志向もあったことから教育学部がある札幌のみな らず北海道・全国の各地に目を向けた研究を目指して います。私の専門は教育機会の格差・不平等であリ、 どんなに頑張ったとしても本人の努力だけではどうに もならないもの、例えば性別や親の職業、家庭の経済 的な理由などの属性や地域性が相互に関連しあって どのように教育機会の格差を生み出しているのかを、 アンケート調査や統計資料の二次分析を通して見出 そうとしています。 格差やそれに関する政策を語る際に私が特に意識 していることは、格差をどう捉えるか。同じ統計資料を 分析したとしても異なる格差の捉え方(=格差指標) に基づけば導き出される現状評価が異なリます。それ ゆえ、格差の捉え方に関する研究は、格差論の基盤と なるともいえます。こうした考察は、行政や教育者など の実践家とは異なる立場の研究者だからこそ取リ組 める分野です。研究者が行える社会貢献の一つのあリ 方になリうるのではないか、と考えています。 現実から学び、生活を意識する 高校まで体育が好きで、体育教師かスポーツライ ターの道もあるかもしれなし}と思い、本学の教育学部 に入学しました。私の学生時」tは皆さんのお手本にな るようなものでは到底あリま んでしたが、今思うと同級 生と哲学の本を読んだリ、他の専門分野も含め先輩・後 ョコ・ナナメのつながリ"で育fれる学びに没頭した日々 でした。 今は皆さんに身近な媒体Iま本よリSNSかもしれません が、どの媒体を用いたとしてもそれを読むこと自体が目的 ではなく、それを通して現実J知る、現実から学び、日常 生活を意識するという姿勢を大切にしてほしいと考えて います。社会は実にさまざまな要素が交錯し、それらの影 響が結実して成リ立っていまJ。教育も社会現象の一つ であリ、広い文脈上に位置づける複眼的な視点が求めら れます。そうした視点を誰かがhっていれは教育現場や 社会に役立つことも出てくるのではないか。そしてその誰 かとは微力ながらも自分が弓Iき受けている責務ではな いか。そんな風に考えながら研究に取リ組んでいます。 14

Connect with the world Connect with the communit y 世界とつながる 地域とつながる 北海道大学教育学部では、 2024年よリ教育学部海外短期 セミナー派遣支援制度を設けています。これは海外の大学 での教育学に関連する短期セミナーについて、教育学部生 を対象に渡航に必要な費用の一部を支援するものです。 セミナーでの単位が認定されれば、教育学部の教育学 国際講義の単位として読み替えられます。 2024年8月 5 日~ 16 日には、東フィンランド大学(ヨーエンス・キャンパス)にて 「 Educati on in Diverse Culture」のセミナーが開催され ました。北海道大学教育学部からは、教育学部生 2名が 参加しました。世界各地から集まった学生とともに、 講義、ワークショップ、パネルディスカッションなどを行い、 教育現場での多様性の根底にある概念と視点を理解して ゆきました。 }"” - "• 虐 -- -- 北海道内の地域との交流 北海道大学教育学部は、北海道内の二つの自治体と連携 協定を結んで交流しています。ひとつは流氷が接岸する ことで知られる北海道のオホーツク海沿岸に位置する湧別町、 もうひとつはオホーツク海から約25km 内陸に位置する 西興部村です。新型コロナウィルス感染症が拡大したとき には、教育学部の学生も辛くて苦しい状況におかれましたが、 二つの自治体それぞれから、地域の特産品の玉ねぎや保存 食をはじめとした多くの食料支援をいただきました。 、VIIER1; -- - °ー。し INTI E_乞_; - -- _— -- IV'()1U.0 ,―.ー・で_ .ー· - , 屈‘‘9E 二_-_ --- -..,___ "!0.ヽ,.. ~- ---_-:= . f -- ー:::ーご:... 湧別町r いサロマ湖で育つホタテや、 200種類 70万本のチューリッ プが美}い「ゆうぺつチューリップフェア」で知られる町です。湧別 町;よ‘少子化が進むなかでよリ良い教育を提供するために小中一 貫 育を進めていて、 9年制の義務教育学校を開校しています。教育 部の調査実習の授業では、特色ある教育の取リ組みがなされる背 景を知るために、 3年生の学生が湧別町を訪問しました。そして湧別 町教育委員会や、小中学校教育を接続した 9 年制の義務教育学校 で聞き取リ調査を行い、成果を報告書にまとめました。 教育学部海外短期セミナー派遣支援制度利用者fの声 2024年、東フィンランド大学のサマーセミナfに参加し、多様性教育 の理論と実践を学びました。フィンランドと日本の教育比較では、 地域や経済格差を考慮した公平な教育,んゃ、高い水準の教師教育 に基づく教育現場の質の高さを学びました。また、多様性に関する テーマでは、文化・言語・個別ニーズあ配慮が教育において重要で あることを体感しました。特に、心理i安全性が学びに与える影響 実践的に理解し、他国籍の子ど,{の配慮の必要性を実感しました。 今後は教育系企業での業務免通じ、 ALTの適応支援や学校をの 連携促進に尽力し、多様性理解と知見を活かした教育支援を盾指し f ます。このセミナーで得た経験と学びは、自身の成長と社/h貢献の 糧となリました。 (黒住ヽ良) 15 私は 2024 年 8 月、東フィンランド大学のサマースクール 「 Educa ti on in Diverse Cultures 」に参加し、多様なアイデン テイティを尊重する教育について学びました。特に「Li ng u i s ti cally Responsive Pedagogy」に触れ、言語が文化や社会、教育に与え る影響の重要性を実感しました。また、異なる言語環境での授業を 体験し、言語的障壁を乗リ越える工夫の大切さを学びました。英語 での議論を通じ、自分の考えや文化を伝える難しさを体感し、アイデ ンティティを尊重する教育の意義を深く理解しました。これを踏 まえ、今後は「生きるための学び」と「よリ良い教育の実現」を意識し て研究や教育実践に取リ組み、多様性を尊重し合う社会の構築に 貢献したいと考えています。 (伊藤愛沙子) 西興部村 : セドゥ:‘“J SETOUSHI 北海道紋別郡西興部村 西興部村は酪農が盛んで、ギターのボディーを製造するエ湯がある ことでも知られます。村のイメージキャラクターは、ギターを抱えた 牛の「セトウシくん」です。毎年夏休みには、教育学部の学生が 西興部村を訪問し、西興部中学校に通う生徒さんの学びを支援する 「夏の学習会」を行っています。「夏の学習会」では、中学生の皆さん の学習サポートを行うほか、視野を広げるきっかけ作リとして、大学生 が中学生の頃の自分や今の大学生活を語リます。教育学部の学生に とっても、地域の中学生との交流は、とても貴重な気付きを与えて くれる体験となっています。 1 6 r

教育基礎論分野 “学び'の革新。“教え’'と“育ち'’の相互関連。 人々の成長を支えるしくみを探求する。 1 教育思想 担当教員:白水浩信 教育について語ることは、いかにして可能か? 西洋の教育思想史をひもとくとき、ーロに「教育」 と言っても、 educa ti on 、i nst ruc ti on 、 d i sc ipli ne 、 formation 等、様々な語彙があリます。古代から 近代にいたる教育言説の軌跡を語彙基板の 変遷という観点から、いつ、誰が、どのような文脈で 語ったのかということについて研究しています。 1 教育史 ●卒業論文テーマ: 「〈祭典〉装置としての〈公教育〉ーカバニス『公教育論』 第二章の分析を中心に」「西欧教育思想における〈修練〉 の系譜学ーカッシアヌスからイエズス会まで」「メトレー 感化院の「家族制度」ーフレデリック=オーギュスト・ ドゥメツの家族観」 担当教員:北村嘉恵 教育の「常識」のラディカルな問い直し たとえば「現代教育の病理」とされる現象について、 処方箋を急ぐよリは、教育の生理現象のひとつ として、時間的·空間的に視野を広げて捉え直し てみたい。異なる時代・地域の側に視点をおく ことができれば、自分の日常や問題状況もこれまで と違って見えてくるはずです。悠長な遠回リの ようですが、ラディカルな問い直しにつながリます。 ●卒業論文テーマ. 「近代日本の漢字論ー山下芳太郎におけ る『国字改良』運動」「幕末維新期の服装 改革と『男らしさ』の再編成」「近代日本に おける読書行為一新聞小説と読者」 1 学校史 担当教員:近藤健一郎 教育・学校について歴史的視点から考える 6歳になったら小学校に入学するということから 始まる、疑われることのない教育・学校の「常識」に 私たちは囲まれていて、そこから自由になるのは容易 ではあリません。だからこそ、教育の現状を理解し、 「問題」の根源に立ち返リ未来を展望する方法 として、教育・学校を歴史的に学ぽうとしています。 ●卒業論文テーマ: 「『障害児教育』の歴史的変遷」 「戦前北海道における小学校教員養成の実態」 「アイヌの通った学校について」 今も残る「奉安殿」(沖縄県登野城小学校)。 中には何が入っていたでしょうか。 [教育行政学 担当教員:横井敏郎 子ども・若者の学びと成長を支える 教育行政・制度を探る 子ども・若者の学びと成長を保障するには十分な 教育環境が必要です。本研究室では教育機会を 保障する公教育制度のあり方、教員確保や学校 配置などの教育条件と地域格差、分権改革下に おける地方教育行政の構造変化、平等・公正・ 差異などの規範的価値などについて現場調査、 法制度・政策分析、概念分析、国際比較の方法で 研究しています。 ●卒業論文テーマ· 「公立夜間中学の設置過程における地方政治の役割に関する実証 研究:自主夜間中学団体の働きかけと札幌市議会における議論に 注目して」「改正教育基本法第2条『教育 • •=- の目標』第1 号の理念とその制定経緯の 研究」「北海道における小規模高校の 教職員配置に関する研究:地域連携校 を含む1 間口校に注目して」に注目して」 [学校経営論 担当教員:篠原岳司 教育を受ける権利を保障する学校とは? その法と制度、組織、統治、経営を問い直す 現代社会において、学校教育は私たち個人の成長 発達に強い影密力を有しています。しかし、学校 教育には様々な課題も指摘されています。学校が 個人の自由権を侵害せず、すべての学習者の願い に応え、それぞれの教育を受ける権利を保障する ためには、学校教育に関わる法と制度、人と組織、 そして統治と経営の現実を問い直し、より良い学校 のあリ方・創リ方を追究することが必要です。 ●卒業論文テーマ: 「国際バカロレア教育の日本での導入・実施に関する研究一高等学校 におけるデュアルランゲージ・デイプロマ・プログラムの実施課題ー」 「住民の学校参加に関わる教育法学説 の批判的検討ー今橋盛勝の「住民の教 育権」理論を中心に一」「教育課程編成 における生徒の実情に応じた弾力性 一夜間中学における学齢超過者への 逼 『特別の教育課程』を対象に一」 i~=;lll~":'~:訪問調査時 [教育方法学 教授学を探究しよう!学ぶ楽しさを明らかにしよう! 言語教育(外国語としての英語の教育、文学 教育を含めた国語教育)や社会認識教育(歴史 教育、狭歳の公民教育など)を中心に取リ上げて います。教科の教育内容を、照応する学問の 研究成果を踏まえて抽出する方法の点から、 「学問の学問」としての教授学をいかにして建設 するかを探究しています。 担当教員:大竹政美 ●卒業論文テーマ: 「光の直進性に着目した中学校段階 における光の学習」 「翻案小説として の太宰治『走れメロス』の読みの指導」 「中学校社会科公民的分野における 社会的選択の指導に闊する教材構成」 18

1 9 l 教師教育制度論 担当教員:張揚 教員の生涯発達とそれを支える教師教育を グローバルな視点から見る 教師教育が教師発達をもたらし、教師発達は教師 教育のなかで実現します。教師教育制度論は教員 養成と現職教育に関する制度や政策のみ探究 するのではなく、教師個人の変化にも注目します。 とリわけ、教師の質の向上に焦点を当てて、教師が 教戦生涯にわたって継続的に力量成長を遂げる という視点から教師教育の在リ方を問います。 ●卒業論文テーマ: 「男性教員の育児休業取得への影響要因に関する研究—大阪府立 高等学校関係者へのインタビュー調査に基づいて」 教育社会科学分野 個人の成長、地域の発展。 社会システムとしての‘‘教育"を捉える。 [教育社会学 担当教員:上山浩次郎 教育と社会の関連を解明する 教育と社会の関連を、特に教育と社会的不平等に 注目して社会学的な立場から考えていくことが目標 です。その際に、社会調査実践に基づきながらも理 論的な研究となるよう努めることも目指しています。 一緒に学びましょう。 3 11 ●卒業論文テーマ 「教育社会学における性内分化研究の現状と課題」「エラプの若者たち ~離島の高校生へのインタピュー・フィールドワーク調査を基に~」 「高等学校における配信センターを用いた遠隔授業の現状と課題」 l 産業教育 担当教員:上原慎一 働くことと学ぶことこの関連の全体像に迫る いままで、たくさんの会社・工場・学校の調査を してきました。働くことと学ぷことは、社会の深い ところで、強く結ばれていると常々実感しています。 ●卒業論文テーマ: 「公共職業訓練における女性の技能 邑ぺ 習得過程に関する一考察」 「中国工業 団地における日系中小企業の経営管理」 「高校中退者の労働実態と経済的自立 の可能性に関する一考察」 l 職業能力形成論 担当教員:駒}1| 智子 職場のジェンダー平等を求めて 企業の人材育成に切リ込む 社会の「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業 のもとで、日本企業では男性と女性のキャリア形成 が大きく異なリます。企業の労働内容、能力形成、 評価、仕事と家庭の両立支援等について考察し、 公正でやリがいのある職場づくリを探究しています。 埼玉大学とのインターゼミ「大学生の基 礎知識としてのワークルール」の報告会 ●卒業論文テーマ: 「事業承継の新たな形一銭湯からサウナヘの転換事例よリ」「幼保連 携型認定こども園における保育者の労働ー教育理念を手掛かリに」 「地方圏の中学生の将来の居住地選択に関する一考察一進学を契機 とした地元志向とキャリア志向の分岐に着目して」 l 社会教育学 担当教員:吉田弥生 地域や社会での学び、大人の学びを探究する 皆さんは、家庭や学校以外の場所でも、色々な 人と出会い、様々な経験をして「自分が成長した /変化した!」と感じたことはあリませんか? 学びの湯や機会は、学校だけにとどまリません。 自分らしく生きていくため、よリよい社会を創る ための学習とはいかなるものか、一緒に考えて みませんか? ヒ璽 1 教育福祉論 ●卒業論文テーマ. 地域団体やNPO• 市民団体のフィー ルドワークに興味がある方、社会的 課題と格闘している現湯から学び たい方、大人や高齢者の学習活動と その支援のあリ方に興味がある方を 歓迎します。 貧困・不平等に関する研究を通して 教育と福祉のあリ方を考える 貧困が人の暮らしや命をどのように傷つけるのか、 またそれを和らげるためにはどんな制度や援助が 必要なのかという問いを抱きながら、国内外で 調査研究をしています。教育学部に貧困を研究する ゼミがあるのは意外に思われるかもしれません。 教育学部で貧困について学ぶ意味も皆さんと一緒 に議論できればと思っています。 担当教員:佐々木宏 家族の中のお金=家計の問題(教育費負担や各種 支払いの滞納問題など)について実証的に明らか にし、こうした家計の問題と貧困との関係について 考える研究を行っています。 担当教員:鳥山まどか ●卒業論文テーマ: 「知的障害のある女性の結婚・出産・育児」「貧困家族の子どもに対する 学習支援活動の機能」「プロアスリートの生活と再就職」「子どもの貧困 に対する教員の認識」 l 青年期教育論 担当教員:辻智子 多様な実践から青年期と教育を問う 青年・若者に向けられる世の中の関心は社会のあリ ようを映し出します。それらの関心とそれをめぐる 動向を対象化しつつ、また具体的な地域実践なども 手がかリとしながら、「人が育つこと」「大人になること」 の様相をとらえ青年期の教育について考えます。 教育・労働·福祉の相互の重なリやジェンダー/ セクシュアリティの視点も大事にしていきます。 教育社会科学講査実習(2022年度) ●卒業論文テーマ: 「地方に生きる若者の居住の経緯と生活に対する現状認識」 「『自己語り』と『語られる自己』に関する検討」 「地域と協働した学びの湯における解放機能」 l 高等継続教育 担当教員:光本滋 自身にとっての意味と必要、他者にとっての 価値をつなぐ大学・学問の創造 大学で学ぶことは、大学と学問をつくる主体に なることです。国内国外、過去から現在までの 人びとの工夫と努力、そして失敗を含む経験に 学びながら学問・教育の自由と自治の課題に ついてともに考えていきましょう。 ●卒業論文テーマ: 「学生生活費と奨学金」「平和教育論の考察」「w.s .クラークの教育 理念・実践ーマサチューセッツ農科大学から札幌基督教会誕生までの 教育活動について」 私の専門は、社会教育学ですがNPOや協同組合 などを対象に、地域で福祉活動を担う人々の協同 活動を通しての学びをテーマとしています。現代 社会の縮図である地域で、一緒にフィールドワーク しましょう! 教育社会科学分野助手:丸山美貴子 20

2 1 教育心理学分野 乳幼児から青年、成人に至るまで。 心の領域から“育つ”ことを探求する。 1 視知覚認知過程論 担当教員:河西哲子 「一瞬」の心の働きを科学する 世界の事物や事象はどのように脳で処理され、瞬時 に認識されるのでしょうか。またその過程は心身の 状態や発達、学習によってどう変わるのでしょうか。 実験心理学や心理生理学の方法論を学びながら、 心の不思議を考えてみませんか。 実習での脳波実験準備 ●卒業論文テーマ: 「グローバル・ローカル水準間の注意シフト の検討」「肯定的·否定的感情状態が認知 に及ぼす選択的影響」「事象関連電位を用 いた視覚的群化の検討」 l 学習神経心理学 担当教員:関あゆみ 脳機能の視点から 子どもの「学び」を考える 「読む」「書く」「計算する」などが、どうしても うまくいかない子ども達がいます。怠けている のでも能力がないのでもなく、学び方=脳の 使い方が他の人と少し違うのです。学習のつま ずきを脳機能の視点からとらえることで、支援法 について考えてみましょう。 ●卒業論文テーマ: 「運動イメージ能力の個人差が空書効果に与える影響ー運動観察 イメージ能力に着目して一」「第二言語の音素認識に指導法の違いが 与える影響」「書字に困難を抱える中学生にとってのノートテイキングー 代替手段を有効な学習法略とするために一」 l 認知・動機づけ論 担当教員:大谷和大 社会的に構築される学習動機づけの探求 動機づけは「やる気」の学術用語で、人の行動を 理解する上での重要なキーワードです。本研究 室では、教育心理学、認知心理学、パーソナリテ ィ心理学の手法に基づき、動機づけの個人差や それを規定する要因、そして動機づけが何を予測 するのかを児童•生徒の社会的文脈(学級風土 など)に注目しながら探索しています。また、メタ 認知など学習をよリ高次なものにする思考につ いても研究しています。 ゼミの様子 ●卒業論文テーマ: 「洞察問題における協同的問題解決 の検討」「隣の芝生は青く見える感情 の探索的検討」「自伝的記憶の想起 がアナグラム課題の取リ組みに及 ぽす影響」 l 発達心理学 担当教員:加藤弘通 問題のなかに発達の可能性をみる 私たちの研究室では、非行やいじめ、不登校、ひきこ もリ、自傷行為といった「問題」から思春期の発達に ついて考えています。問題=悪ものと考え、単にその 解消を目指すのではなく、様々な「問題を可能にして いる思春期の発達とはなにか?」ということを解明する ことが目標です。 夏合宿の様子 ●卒業論文テーマ: 「友人関係における自己開示抑制について」「青年期における競技スポーツ 世界への参入が発達に与える影響」「『将来の夢』を持っていないことをポジ ティブに捉える」「思春期における自我体験の特徴と人格形成の因果関係に ついての考察」「青年期におけるナナメの大人が与える影響」「青年期におけ る重要な他者との信頼関係構築による関係性の再体制化」「プランニング 方略が動機付けに及ぼす影響」 l 乳幼児発達論 担当教員:川田学 子どもの発達と 保育・教育実践との関係をさぐる 人生のはじまリである乳幼児期の発達を、家庭や 保育園・幼稚園といった実践の現場と切リ離さない で研究するには何が必要でしょうか。子どもの発達 を解明したい人、保育や幼児教育の実践を思索 したい人、親や保育者や子育て支援者の話がきき たい人、一緒に学びましょう。 発達系ゼミの夏合宿の様子 ●卒業論文テーマ: 「5歳児の協同的な遊びの展開と子ども間の教示行為の関連性」「保護者 と共に保育園を運営するということ:園づくりを通して成長する大人たち」 「子育て支援資源へのアクセスの現状と課題:第一子を育てる母親 に焦点を当てて」 l 言語発達論 担当教員:伊藤崇 子どもの生活を言語という観点からとらえなおす 家庭や幼稚園、小学校などで、子どもが周囲の人々 と行うコミュニケーションを研究しています。例えば、 親子の何気ない会話の中には、子どもが言葉の使い 方を身につける上で重要な秘密が眠っています。 その秘密を解き明かすのがこのゼミの最終的な 目標です。 ●卒業論文テーマ· 「母子関係と相互の呼称の関連につい ての一考察」「中学生における成績非開 示傾向を及ぽす要因の検討:自己評価・ 他者評価予測・評価懸念に注目して」 「呈示情報への色による強調が情報源に 関する記憶に及ぼす影響」 1 特殊教育・臨床心理学 担当教員:安達潤 認知心理学·臨床心理学の視点から 知的障害•発達障害の人たちの理解と 支援を考える 一般の子ども達と物の捉え方(認知)が違うために、 湯の空気が読めなかったリ、他者との関わリや計画 的な作業が苦手だったリする子ども達がいます。その 困難さは彼らの心理的育ちに暗い影を落とすことも あリます。彼らが眺める世界を理解し、彼らの体験 に配慮した支援を一緒に考えてみませんか。 ●卒業論文テーマ· 「算数文章題において困難を示す児童への学習支援の実践と検討」 「自閉症スペクトラム障害者に対する集団での自己認知支援の実践と検討」 「知的障害を伴うASD児への要求行動形成のための支援」 E□釦翠騎一門ー当教員:岡田智 子どもの成長や適応を支える 発達臨床実践ヘ 学校生活や対人関係上での不適応や、発達面での アンバランスを抱えている幼児、児童、青年の理解 と支援の方法について関心があリます。発達臨床 論ゼミでは、このような状況にある子どもや青年に 関する心理や支援方法について学び、それぞれの 学生の興味•関心に沿って、文献研究、調査研究、 事例研究、実践研究などに取リ組んでいきます。 ●卒業論文テーマ: 「自閉症スペクトラムのある子どもの社会的動機づけ一日本語版 Soci alMotivatio nInterviewによる測定の試みー」「発達障害のある 幼児における集団遊びの発達的意義に闊する検討」「ASDのある母親 の子育ての困難と強みに関する研究」 l 教育臨床心理学担当教員:渡邊誠 隠れた必要性に目を向けて 心理的な問題を抱える、主に青年期以降の人たちに 対して、臨床心理学的な援助の実践と研究をしてい ます。特に、高等教育機関における学生相談、セクシ ャルマイノリティ支援、および犯罪被害や虐待などに よるトラウマの支援に興味があリます。 一卒論冗表会写真 ●卒業論文テーマ 「過去の自分とのロールレタリングがもたらす心理的効果の検証」 「『里子であること』はどのように経験されるのか一里親家庭で 過ごしたa さんの語リを中心に一」「オンラインコミュニティにおける コミュニティ感覚がメンタルヘルスに与える影轡」 I 障害者臨床心理学 担当教員:松田康子 当事者に学び障害を抱えて 生き抜くことへの助力を考える ケアの場における利他とはどのような営みでしょうか。 精神障害を抱える人にとって、地域で暮らすこと、学業 に勤しむこと、生き抜くことへの助力とはどのようなこと でしょうか。答えは一つではありません。個人の関わリ から環境にまで視野を広げ、一緒に考えていきましょう。 ` ;' ゼミ合宿調査官戸9迂IJ ●卒業論文テーマ 「内なる他者の声を聴くこと:応答責任としての自己再帰的考察」「経験を 共有するとはいかなることか」「『もやもやした気持ち』の扱いにくさ~心理 職を目指していた学生との語リ合いから~」「【一緒にいる】と思わさる 感覚についての一考察」 l 福祉臨床心理学 担当教員:井出智博 生きづらさを抱える子どもや若者の 暮らしと育ちを支える 児童虐待や喪失体験、機能不全を抱える家族と の生活、被災や被害体験など生い立ちの中で困 難さを経験してきた子どもや若者に対する心理 的、福祉的支援に関する実践、研究に取リ組んで います。またそうした困難さの否定的影響だけで はなく、困難を乗リ越えることの心理的成長につ いても注目して取リ組んでいます。 ゼミの様子 ●卒業論文テーマ· 「自立援助ホームにおける主体的な自立 をめぐる現状と課題の探求」「『学校不 適応J経験のある生徒の道内地方小規模 高校における『学校適応』の要因の検討」 「カミングアウトの『受容』」アプローチ」 私は現在、大学生のメンタルヘルス支援に向けて、 大学生の強迫的な行動(手洗い行動や確認行動 の過剰な繰り返し)に関する臨床心理学的理解と 支援について実践・研究を行っています。様々な 悩みを抱えている方々の理解や支援について、 一緒に学びましょう! 教育心理学分野助教:指方賢太 22

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