北海道大学教育学部パンフレット

2 1 教育心理学分野 乳幼児から青年、成人に至るまで。 心の領域から“育つ”ことを探求する。 1 視知覚認知過程論 担当教員:河西哲子 「一瞬」の心の働きを科学する 世界の事物や事象はどのように脳で処理され、瞬時 に認識されるのでしょうか。またその過程は心身の 状態や発達、学習によってどう変わるのでしょうか。 実験心理学や心理生理学の方法論を学びながら、 心の不思議を考えてみませんか。 実習での脳波実験準備 ●卒業論文テーマ: 「グローバル・ローカル水準間の注意シフト の検討」「肯定的·否定的感情状態が認知 に及ぼす選択的影響」「事象関連電位を用 いた視覚的群化の検討」 l 学習神経心理学 担当教員:関あゆみ 脳機能の視点から 子どもの「学び」を考える 「読む」「書く」「計算する」などが、どうしても うまくいかない子ども達がいます。怠けている のでも能力がないのでもなく、学び方=脳の 使い方が他の人と少し違うのです。学習のつま ずきを脳機能の視点からとらえることで、支援法 について考えてみましょう。 ●卒業論文テーマ: 「運動イメージ能力の個人差が空書効果に与える影響ー運動観察 イメージ能力に着目して一」「第二言語の音素認識に指導法の違いが 与える影響」「書字に困難を抱える中学生にとってのノートテイキングー 代替手段を有効な学習法略とするために一」 l 認知・動機づけ論 担当教員:大谷和大 社会的に構築される学習動機づけの探求 動機づけは「やる気」の学術用語で、人の行動を 理解する上での重要なキーワードです。本研究 室では、教育心理学、認知心理学、パーソナリテ ィ心理学の手法に基づき、動機づけの個人差や それを規定する要因、そして動機づけが何を予測 するのかを児童•生徒の社会的文脈(学級風土 など)に注目しながら探索しています。また、メタ 認知など学習をよリ高次なものにする思考につ いても研究しています。 ゼミの様子 ●卒業論文テーマ: 「洞察問題における協同的問題解決 の検討」「隣の芝生は青く見える感情 の探索的検討」「自伝的記憶の想起 がアナグラム課題の取リ組みに及 ぽす影響」 l 発達心理学 担当教員:加藤弘通 問題のなかに発達の可能性をみる 私たちの研究室では、非行やいじめ、不登校、ひきこ もリ、自傷行為といった「問題」から思春期の発達に ついて考えています。問題=悪ものと考え、単にその 解消を目指すのではなく、様々な「問題を可能にして いる思春期の発達とはなにか?」ということを解明する ことが目標です。 夏合宿の様子 ●卒業論文テーマ: 「友人関係における自己開示抑制について」「青年期における競技スポーツ 世界への参入が発達に与える影響」「『将来の夢』を持っていないことをポジ ティブに捉える」「思春期における自我体験の特徴と人格形成の因果関係に ついての考察」「青年期におけるナナメの大人が与える影響」「青年期におけ る重要な他者との信頼関係構築による関係性の再体制化」「プランニング 方略が動機付けに及ぼす影響」 l 乳幼児発達論 担当教員:川田学 子どもの発達と 保育・教育実践との関係をさぐる 人生のはじまリである乳幼児期の発達を、家庭や 保育園・幼稚園といった実践の現場と切リ離さない で研究するには何が必要でしょうか。子どもの発達 を解明したい人、保育や幼児教育の実践を思索 したい人、親や保育者や子育て支援者の話がきき たい人、一緒に学びましょう。 発達系ゼミの夏合宿の様子 ●卒業論文テーマ: 「5歳児の協同的な遊びの展開と子ども間の教示行為の関連性」「保護者 と共に保育園を運営するということ:園づくりを通して成長する大人たち」 「子育て支援資源へのアクセスの現状と課題:第一子を育てる母親 に焦点を当てて」 l 言語発達論 担当教員:伊藤崇 子どもの生活を言語という観点からとらえなおす 家庭や幼稚園、小学校などで、子どもが周囲の人々 と行うコミュニケーションを研究しています。例えば、 親子の何気ない会話の中には、子どもが言葉の使い 方を身につける上で重要な秘密が眠っています。 その秘密を解き明かすのがこのゼミの最終的な 目標です。 ●卒業論文テーマ· 「母子関係と相互の呼称の関連につい ての一考察」「中学生における成績非開 示傾向を及ぽす要因の検討:自己評価・ 他者評価予測・評価懸念に注目して」 「呈示情報への色による強調が情報源に 関する記憶に及ぼす影響」 1 特殊教育・臨床心理学 担当教員:安達潤 認知心理学·臨床心理学の視点から 知的障害•発達障害の人たちの理解と 支援を考える 一般の子ども達と物の捉え方(認知)が違うために、 湯の空気が読めなかったリ、他者との関わリや計画 的な作業が苦手だったリする子ども達がいます。その 困難さは彼らの心理的育ちに暗い影を落とすことも あリます。彼らが眺める世界を理解し、彼らの体験 に配慮した支援を一緒に考えてみませんか。 ●卒業論文テーマ· 「算数文章題において困難を示す児童への学習支援の実践と検討」 「自閉症スペクトラム障害者に対する集団での自己認知支援の実践と検討」 「知的障害を伴うASD児への要求行動形成のための支援」 E□釦翠騎一門ー当教員:岡田智 子どもの成長や適応を支える 発達臨床実践ヘ 学校生活や対人関係上での不適応や、発達面での アンバランスを抱えている幼児、児童、青年の理解 と支援の方法について関心があリます。発達臨床 論ゼミでは、このような状況にある子どもや青年に 関する心理や支援方法について学び、それぞれの 学生の興味•関心に沿って、文献研究、調査研究、 事例研究、実践研究などに取リ組んでいきます。 ●卒業論文テーマ: 「自閉症スペクトラムのある子どもの社会的動機づけ一日本語版 Soci alMotivatio nInterviewによる測定の試みー」「発達障害のある 幼児における集団遊びの発達的意義に闊する検討」「ASDのある母親 の子育ての困難と強みに関する研究」 l 教育臨床心理学担当教員:渡邊誠 隠れた必要性に目を向けて 心理的な問題を抱える、主に青年期以降の人たちに 対して、臨床心理学的な援助の実践と研究をしてい ます。特に、高等教育機関における学生相談、セクシ ャルマイノリティ支援、および犯罪被害や虐待などに よるトラウマの支援に興味があリます。 一卒論冗表会写真 ●卒業論文テーマ 「過去の自分とのロールレタリングがもたらす心理的効果の検証」 「『里子であること』はどのように経験されるのか一里親家庭で 過ごしたa さんの語リを中心に一」「オンラインコミュニティにおける コミュニティ感覚がメンタルヘルスに与える影轡」 I 障害者臨床心理学 担当教員:松田康子 当事者に学び障害を抱えて 生き抜くことへの助力を考える ケアの場における利他とはどのような営みでしょうか。 精神障害を抱える人にとって、地域で暮らすこと、学業 に勤しむこと、生き抜くことへの助力とはどのようなこと でしょうか。答えは一つではありません。個人の関わリ から環境にまで視野を広げ、一緒に考えていきましょう。 ` ;' ゼミ合宿調査官戸9迂IJ ●卒業論文テーマ 「内なる他者の声を聴くこと:応答責任としての自己再帰的考察」「経験を 共有するとはいかなることか」「『もやもやした気持ち』の扱いにくさ~心理 職を目指していた学生との語リ合いから~」「【一緒にいる】と思わさる 感覚についての一考察」 l 福祉臨床心理学 担当教員:井出智博 生きづらさを抱える子どもや若者の 暮らしと育ちを支える 児童虐待や喪失体験、機能不全を抱える家族と の生活、被災や被害体験など生い立ちの中で困 難さを経験してきた子どもや若者に対する心理 的、福祉的支援に関する実践、研究に取リ組んで います。またそうした困難さの否定的影響だけで はなく、困難を乗リ越えることの心理的成長につ いても注目して取リ組んでいます。 ゼミの様子 ●卒業論文テーマ· 「自立援助ホームにおける主体的な自立 をめぐる現状と課題の探求」「『学校不 適応J経験のある生徒の道内地方小規模 高校における『学校適応』の要因の検討」 「カミングアウトの『受容』」アプローチ」 私は現在、大学生のメンタルヘルス支援に向けて、 大学生の強迫的な行動(手洗い行動や確認行動 の過剰な繰り返し)に関する臨床心理学的理解と 支援について実践・研究を行っています。様々な 悩みを抱えている方々の理解や支援について、 一緒に学びましょう! 教育心理学分野助教:指方賢太 22

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