北海道大学教育学部パンフレット

学びのキーワード:教育機会の格差不平等、社会的不平等と教育 教育を社会現象の一つとして捉ス 複眼的な視点で位置づける 教育社会学 上山浩次郎 分析することで格差の問題が見えてくる アンケートを使った調査を行うことも 教育機会の格差論の基盤となる指標研究 北海道大学の教育社会学はもともと地域社会学的 な志向もあったことから教育学部がある札幌のみな らず北海道・全国の各地に目を向けた研究を目指して います。私の専門は教育機会の格差・不平等であリ、 どんなに頑張ったとしても本人の努力だけではどうに もならないもの、例えば性別や親の職業、家庭の経済 的な理由などの属性や地域性が相互に関連しあって どのように教育機会の格差を生み出しているのかを、 アンケート調査や統計資料の二次分析を通して見出 そうとしています。 格差やそれに関する政策を語る際に私が特に意識 していることは、格差をどう捉えるか。同じ統計資料を 分析したとしても異なる格差の捉え方(=格差指標) に基づけば導き出される現状評価が異なリます。それ ゆえ、格差の捉え方に関する研究は、格差論の基盤と なるともいえます。こうした考察は、行政や教育者など の実践家とは異なる立場の研究者だからこそ取リ組 める分野です。研究者が行える社会貢献の一つのあリ 方になリうるのではないか、と考えています。 現実から学び、生活を意識する 高校まで体育が好きで、体育教師かスポーツライ ターの道もあるかもしれなし}と思い、本学の教育学部 に入学しました。私の学生時」tは皆さんのお手本にな るようなものでは到底あリま んでしたが、今思うと同級 生と哲学の本を読んだリ、他の専門分野も含め先輩・後 ョコ・ナナメのつながリ"で育fれる学びに没頭した日々 でした。 今は皆さんに身近な媒体Iま本よリSNSかもしれません が、どの媒体を用いたとしてもそれを読むこと自体が目的 ではなく、それを通して現実J知る、現実から学び、日常 生活を意識するという姿勢を大切にしてほしいと考えて います。社会は実にさまざまな要素が交錯し、それらの影 響が結実して成リ立っていまJ。教育も社会現象の一つ であリ、広い文脈上に位置づける複眼的な視点が求めら れます。そうした視点を誰かがhっていれは教育現場や 社会に役立つことも出てくるのではないか。そしてその誰 かとは微力ながらも自分が弓Iき受けている責務ではな いか。そんな風に考えながら研究に取リ組んでいます。 14

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