―研修が目指す<スクールリーダー>像―

  • 学校管理職を目指す教職員の力量形成支援
    現代に要請される学校の自律的経営のためには、学校教職員はもちろん、保護者や地域の人々を巻き込んで学校を経営していく力量をもった校長(及び中核的な学校管理職)が求められています。北大スクールリーダーシップ研修(HUSLP)では、そうした高い経営力量と識見をもった管理職を目指す教職員を支援することを目的としています。
  • 分散統合的なスクールリーダーシップ
    すぐれた学校は、校長とともに、全ての教員が参画し協働して実現していくものです。校長・教頭等、ミドルリーダー、一般教職員が、それぞれ適切に創意を発揮して学校づくりを進めていく状況を、私たちは「分散統合的なスクールリーダーシップ」と呼んでいます。HUSLPは、一定経験を積んだ教職員すべてに、スクールリーダーシップ力量形成の機会を提供することを目指しています。
  • 探究的スクールリーダー
    学校にはさまざまな困難が渦巻いていますが、その現状を捉え返し、実践を発展させていくスクールリーダーが重要です。HUSLPでは、自らの現場で学校改善実践を創造的に探究する<探究的スクールリーダー>の育成を目指しています。その力量は以下のように構成されます。

<探究的スクールリーダーの実践力と基本的技量>




①半年間継続型現職研修
約半年にわたって研修を実施することによって、研修期間中に参加者が気づいたことをより深める学習をしたり、研修講師からの指導を継続的に受けることができます。参加者間の関係が密になり、相互支援的な学習も可能になります(注1)。

②スクールリーダーシップと学校経営改善に焦点を当てた研修
スクーリングにおいては、スクールリーダーシップと学校経営、各実践領域の改善方法に関する講義と討議を行います。討議は、それぞれが職場で抱えている課題を掘り下げて考えることに資するよう参加を重視し、小グループ形式も用います。

③事例検討を取り入れた実践性をもった研修
またスクーリングにおいては、北海道の具体的事例や実践を紹介し、その検討を参加者全体で行うことによって、実践感覚を養います。事例の紹介では、実践当事者(校長)自身の発表も予定しており、実践者への質疑を行う機会もあります。

④学校訪問実習による学校経営の視察・学習
学校訪問を行い、管理職等からの聞き取りや教育活動の視察を通して学校経営実践の実際を学びます。

⑤勤務校学校改善プランの作成
半年間にわたるスクーリングと実習を踏まえ、まとめとして参加者勤務校を対象とした学校改善プランを作成します。自校で実践可能な問題解決型の計画の作成をめざします。



<理論と実践を結合した学校改善プランの作成>



(注1)平成18年度HUSLPには28名が参加した。そのうち17名は、翌平成19年11月3日に実践交流会を開催し、30分ずつ、研修修了後の4月からの学校経営実践について報告した(於北海道大学)。



講    座    日    程   ・    内    容
 7月19日(土) 実    習

  • 開講式/オリエンテーション
    「スクールリーダーシップ研修」のねらいと研修の方法について説明する。


  • 受講者による勤務校課題の発表と質疑
    発表テーマは「わが校における学校改善の取り組みの現状と課題」、1人5分程度。
実習①
(勤務校改善課題の検討) 実習②
(学校視察の計画作成) 実習③
(学校視察の実施) 実習④
(勤務校学校改善プランの検討) 実習⑤
(勤務校学校改善プランの作成) 勤務校学校改善プランの発表


 8月2日(土)

  • 学校改善計画づくり入門(1)「探究的スクールリーダー」の理念
    今日の学校教育の基本的な課題から学校改善の主要な領域、対象や事項を把握し、スクールリーダーに求められる力量や役割を論じる。


  • 学校改善計画づくり入門(2)ニーズ調査と学校改善計画づくりの方法
    児童・生徒、保護者、教職員に対するニーズ調査に基づき、子どもと学校コミュニティの課題を明らかにし、学校改善目標を設定していく技法を習得する。
 9月6日(土)

  • 事例演習(1):学校評価
    学校改善のためには、適切な学校評価が必要である。最近の学校評価の動向も押さえつつ、学校改善に結びつく学校評価の必須要件について広い視野から議論する。


  • 事例演習(2):教員評価
    教師は日々自ら実践を反省し次への改善に努めている。こうした教師の特性を深く理解し、その専門職能成長を支援しうる教員評価の内容と運用上の課題について考える。
 10月4日(土)

  • 事例演習(3):生徒指導
    いじめ、非行、不登校、中退など思春期の子ども一人ひとりの苦悩に寄り添い、荒れた学校のたて直しに取り組んでいるケースを取り上げ、具体的方策について話し合う。


  • 事例演習(4):スクールソーシャルワークの視点と方法
    子どもたちはさまざまな背景をもって学校に通ってくる。ここではスクールソーシャルワークの事例検討を通して、子どもたちと家族の理解を深める視点を考える。
 11月1−2日(土・日) 合宿

  • 学校改善計画づくり入門(3)学校運営とリーダーシップ
    父母・生徒・教職員の三者が共同して、子どもの現状について話し合い、学校改善目標を策定し学校づくりをすすめる実践に学びながら、学校地域連携の可能性を探る。


  • 事例演習(5):小中高一貫教育
    小中高連携・一貫教育は子どもたちの安定的な成長、発達を地域社会の中で保障する制度である。この制度を豊かに展開するための基本的な視点や方法について検討する。


  • 事例演習(6):進路指導・キャリア教育
    子どもたちはいかにして自らの進路を見出し、社会に移行していくことができるのか。困難な時代における子どもたちの進路探究と進路指導のあり方について考える。


  • 事例演習(7):基礎学力保障
    学力格差が広がっているなかで、子どもたちの学ぶ意欲を掘りおこし、確かな学力の保障を目指した授業改善や学校づくりの実践を取り上げ検討する。
 12月6日(土)

  • 事例演習(8):特別支援教育の理念と方法
    サマランカ宣言の特別なニーズ教育に関する理念を踏まえながら、LD、ADHD、高機能自閉症などの子どもたちに対応する特別支援教育の進め方を検討する。


  • 事例演習(9):特別支援教育と発達障害のある子どもの理解
    軽度発達障害の理解とその難しさ、その子どもと親、保育・教育関係者の理解の現状の検討を通して、軽度発達障害のある子どもへの支援のあり方を考える。
 1月10日(土)

  • 参加者による勤務校学校改善プランの発表と質疑/修了式
    勤務校学校改善プランを参加者各自が発表し、質疑を行う。1人当たり15分。

 *講義・演習 土曜日の午後1〜5時半(11月は土曜日午後1時〜日曜日正午、1月は午前午後)
 *実習 研究講座期間内に参加者が個人またはグループで実施。



  • 本研修講座の企画運営は、以下の「北海道大学スクールリーダーシップ研修モデルカリキュラム」(HUSLP)事業開発委員会および運営指導委員会が当たっています。
  • HUSLPは、北海道大学大学院教育学研究院が進める高等教育職員研修、ユースワーカー研修などの専門職研修プログラムの1つです。HUSLPの大学側事業開発委員会は、以下のメンバーで構成されています。

  • 事業開発委員会 (○は委員長)
      青木 紀(教育学研究院院長) 所 伸一(教育学研究院副院長)
      坪井由実(教育学研究院教授) 横井敏郎(教育学研究院准教授)
      大野栄三(教職課程委員会委員、准教授)

  • 平成20年度 HUSLPの開発・実施に当たっては、下記の方々に運営指導委員を務めていただき、随時指導助言をいただくとともに、各回講座においても、講師やファシリテーターとして研修にご協力をいただきます。

  • 運営指導委員会 (○は委員長)
        井上晴雄(道立千歳高等学校校長)
        太田 眞(札幌月寒高等学校校長、元北海道教育委員会教育指導監)
        川上 典(北海道立教育研究所教育開発部長)
        河地良一(前厚田村教育委員会教育長、元北海道町村教育委員会連合会教育長部会長)
      小出達夫(北海道大学名誉教授、教育行政学)
        土橋信男(函館大教授、元札幌市教育委員会教育長)
        宮浦俊明(札幌市立旭丘高等学校校長)



◆2006年度参加者から2008年度参加希望者へ

・石川真尚さん(札幌稲西高校教諭)
第1回SLP研修では、大学の教育学、教育委員会や管理職の教育行政と学校経営、受講者の小・中・高・特別支援各校での実践報告に触れることができ、学校改善について広い視野と深い洞察の大切さを教えていただきました。
また、SLP研修が「学校改善がよりよい教育につながる」との思いを同じくする仲間の集う場として、参加のたびに元気をいただきました。
月に1回、半年間参加する価値は十分にあります。ぜひ、受講してみませんか。

◆2006年度研修後の感想コメントより

  • 学校改善に取り組むさまざまな経験や立場の方々と意見を交換し、お知り合いになれたことは、校内の同僚や教科の研究会では得られない新鮮な考えや情報を得る場となり、今後の大きな財産となりました。
  • 一回限りの研修会・学校視察だと、時間が経つとその印象や感想が薄れてきます。しかし、半年間継続したことで、他の学校種や地域のことをかなり考えることができました。
  • 今、直面している問題について、忙しさのあまりに見過ごしていた自分の姿に気づくとともに、自分ごととして問い直しをする時間を与えていただきました。「学校とは」「学びとは」校長が自ら提案することがスクールリーダーとしての第一歩だということを強く感じました。
  • それぞれの先生方がそれぞれの学校事情の中で精一杯工夫され、反省しながら進んでいこうという姿勢は自分の励みになりました。教師同士の人間関係づくりが学校改善の基礎だと思います。この研修を基に、理論的、実践的サポートを経ながら、本校の学校改善を進めていきたいと思います。